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元日に発生した能登半島地震によって、耐震化の重要性が改めて認識されました。災害の多い日本に住んでいる私たちにとって、住宅耐震化は命を守るために欠かせない対策です。能登半島地震が示したように、耐震性が不十分な住宅は大地震によって容易に崩壊し、大きな危険を招きます。

地震から命を守るには、建物が倒壊しないよう耐震対策を行うことが大切です。耐震対策はコストがかかりますが、命はもちろん財産を守ることにも繋がります。国や自治体は補助金制度も設けていますので、積極的に制度を活用しましょう。この記事を参考にして、安心・安全な住まいづくりに役立ててください。

この記事のPOINT

☑ 耐震化率は全国平均で87%
☑ 耐震基準は命を守るための基準、耐震等級は命と建物を守る目的
☑ 木造住宅の耐震性を上げる補強方法とは
☑ 瓦屋根だから地震に弱い、わけではない
☑ 耐震化リフォームに活用できる補助金

全国平均の耐震化率は87%

耐震化率とは、総住宅数に対して耐震性がある住宅の割合を示す指標です。耐震性の有無は、1981年に改正された建築基準法の耐震基準(新耐震基準)を満たしているかどうかによって判断されます。
平成30年の時点で、耐震化率の全国平均は87%。長野県は82.5%で全国平均を下回っている状況です。(※国土交通省の資料より)
耐震化率が高い地域は、地震発生時に被害を最小限に抑えることが期待されます。国や自治体は、耐震診断や耐震改修の補助金制度を提供し、耐震化率の向上を図っています。

耐震基準と耐震等級

住宅の耐震性能を表す指標として、耐震基準と耐震等級があります。
耐震基準とは、建物内の人命を守るための基準で、建物の建築時には最新の耐震基準を満たすことが必須条件です。
旧耐震基準は、1981年(昭和56年)以前に建てられた建物で、震度5強程度の中規模地震に対して建物が倒壊・崩壊しない設計となっています。
1981年以降の新耐震基準では、震度6強から7の大地震に対しても倒壊しない(多少の損傷は許容)ように設計されています。新耐震基準のもとでは、中規模地震では軽微な損傷で済むとされていますが、大地震後も住み続けられることを保証するものではありません。新耐震基準の建物でも、大規模地震後には住み続けることが難しくなる場合があり、その場合は建物の解体と新築が必要となることがあります。
現行の耐震基準は2000年6月に木造住宅をメインターゲットとして制定された基準で、新耐震基準の弱点を強化しており、基本的に耐震補強の必要はないとされています。

耐震等級とは、建物の耐震性能を評価するための基準です。人命だけでなく建物自体を守ることも目的として定められており、住宅の損壊を小さくできることを示す性能指標も設けられています。2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいており、施主や購入者が建物の安全性を客観的に判断するための指標となっています。

耐震等級1:最低限の耐震性能。新耐震基準に相当する。大地震の後は住むことが困難になる場合も
耐震等級2:等級1の1.25倍の耐震強度がある。地震後は一部修理が必要になるが、生活に支障はないレベル
耐震等級3:等級1の1.5倍の耐震強度を持つ。木造で家を建てる際は、耐震等級3が目安

木造住宅の耐震性を上げる補強方法

住宅の耐震化を図る際には、建物全体のバランスを考慮することが重要です。まず専門家による耐震診断を受け、その結果に基づいて具体的な補強内容を決めます。
新耐震基準が定められた1981年から2000年までに建築された住宅の約85%が、現行の耐震基準を満たしていないというデータも出ており、この年代の住宅は積極的に耐震診断を活用してみてください。
(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合「木耐協 耐震診断結果 調査データ」2021年)

筋交いや耐力壁を入れる

壁が少ない建物は、地震の力に抵抗できず倒壊する恐れがあります。全体的な壁の量が不足している場合は、構造用合板などを張った耐力壁や筋交いを新たに入れて耐震性を高めます。
開口部を減らし、隅部を壁にするのも効果的です。
耐力壁や筋交いを設置する際には、専門家の意見を取り入れ、適切な位置と量を決定することが重要です。

屋根の素材を軽くする

古い木造住宅に多い粘土瓦など、屋根が重い素材の場合、地震時に揺れが大きくなる原因になります。軽量な屋根材を使用することで、建物全体の重心が下がり、地震時の揺れを軽減できます。瓦からスレートやガルバリウム鋼板などの軽い素材に葺き替えることは、耐震性を向上させる効果的な方法の一つです。

接続部を金物で補強する

古い住宅の接合部は、かすがいという釘で留められていることが多く、固定力が弱いので、地震が発生するとこれらの接合部が外れる可能性があります。土台や梁、筋交いなどの接合部は専用の金物を使って補強することが効果的です。金物を用いることで、木材同士の固定力が強化され、地震に対する耐震性が向上します。

基礎を補強する

古い住宅の基礎には、鉄筋が使用されていない場合があります。このような無筋の基礎は耐震性が低いため、柱の足元を強化することが重要です。鉄筋を入れた基礎を増し打ちするなどして既存の基礎を補強します。基礎にひび割れや損傷が見られる場合は、適切な補修を行うことで住宅全体の耐久性を高めます。

減築

増築を繰り返し間取りが複雑になっている住まいは、減築を行い、平面的に整った形状にすると建物全体の安定性が向上します。特に、平屋にすることは耐震化に非常に有効です。減築によって、重量を減らし地震時の揺れを軽減するだけでなく、老朽化した部分を取り除き、新しい材料で補強すると、より安全な住まいを実現できます。

瓦屋根は葺き替えるべきか

瓦屋根の重さと地震の関係

日本の伝統的な「瓦屋根」は、美しい外観と耐久性が魅力ですが、重さゆえに地震時に揺れが大きくなる原因になります。瓦屋根は地震に弱いからと葺き替えを検討されている方も少なくないでしょう。

実際には、地震で倒壊する原因は屋根の重さそのものではありません。瓦屋根の住宅が倒壊する主な理由は、屋根の重さに対して建物の構造が十分な強度を持っていなかったからです。旧耐震基準で作られた住宅は、瓦屋根に関わらず、震度6程度の地震で倒壊する危険性が非常に高いです。屋根の重量に耐えられるだけの構造耐力があれば、瓦屋根でも倒壊する可能性は低くなります。
また、地盤の悪さも建物の倒壊に影響を与えます。能登半島地震でも見られたように、軟弱地盤は地震の揺れを増大させ、被害をさらに拡大させます。新耐震基準で作られた建物が倒壊するのは、地盤の影響が大きいと考えられます。

しかし屋根の重さにより揺れが大きくなると家具が倒れたり、瓦や棟がずれたり落下したりするリスクが高まります。瓦が落ちると心配されるのが雨漏りです。災害後にブルーシートで応急処置をする光景がよく見られますが、震災直後は依頼が集中するため、すぐに対応してもらえるとは限りません。

いずれにせよ古い耐震基準で建てられた瓦屋根は、早急に葺き替えなどの方法で耐震性を上げる必要があります。

屋根の軽量化に適した屋根材とは

屋根を軽量化することは、地震の揺れを減少させ、住宅の安定性を高めます。重い屋根に耐えるだけの構造耐力がない場合、耐震性を上げる方法の1つとして、軽いの屋根材へのリフォーム(葺き替え)が推奨されます。
軽量化に適した屋根材として、スレート瓦や金属(ガルバリウム鋼板)屋根が人気です。瓦屋根でも、通常の瓦よりも軽く、災害時にズレたり落下しにくい「軽量防災瓦」という選択肢もあります。

住宅の耐震化を図る際には、屋根だけでなく、建物全体のバランスを考慮することが重要です。また、地域の気候や風土も考慮し、耐久性やメンテナンスのしやすさも確認しましょう。
さらに、屋根材の選定だけでなく、施工技術も耐震性に影響を与えるため、信頼できる業者に依頼することが求められます。

スレート瓦、ガルバリウム鋼板、防災軽量瓦の比較

スレート屋根はセメントと繊維を主材料とし、軽量でデザイン性が高く人気があります。重さは瓦の1/3程度で、初期コストも安く、新築時に採用されることも多い屋根材です。耐用年数は20年程度で、経年劣化により割れや反りが発生しやすいので、定期的なメンテナンスが欠かせません。

ガルバリウム鋼板 屋根

ガルバリウム鋼板は、金属屋根の欠点である錆びやすさを抑えた素材です。重さは瓦の約1/5で、強度が高く、地震でも割れたり落ちたりする心配がありません。耐用年数は約30年です。しかし、熱伝導率が高く断熱性が低いことや、完全に錆びないわけではないため、海沿いなど地域によっては向きません。錆や劣化を防ぐために、定期的なメンテナンスが必要です。

軽量防災瓦は、台風や地震で瓦がずれたり落下しにくいように設計・施工されます。通常の瓦よりも軽いですが、スレートやガルバリウム鋼板よりは重いです。耐久性は通常の瓦と同じく高く、サビや色褪せしないためメンテナンスは不要です。初期コストは他の屋根材に比べて高いですが、メンテナンスが不要な分、長期的にはコストを抑えることができます。

耐震化リフォームに活用できる補助金の全貌

耐震補強工事の平均施工金額は約170万円で、築年数が古い住宅ほど補強工事にかかる金額が高くなる傾向があります。(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合「木耐協 耐震診断結果 調査データ」2021年)。
耐震対策はコストがかかりますが、命には代えられません。また、倒壊・半壊し住めなくなった場合の解体・建て替え費用と比較すれば、耐震等級3のレベルに改修した方がコストは抑えることができるでしょう。
住宅耐震化を目的としたリフォームには、国や地方自治体から提供される補助金が存在します。各自治体のホームページや専門の窓口で最新の情報をチェックし、上手に活用しましょう。

住宅・建築物耐震改修総合支援事業補助金(長野県の場合)

長野県では、旧耐震基準以前に建てられた木造住宅を対象に、地震による住宅倒壊等の被害から生命と財産を守るため、住宅の耐震改修を重点的に推進しています。
さらに、令和6年度は耐震改修にかかる助成金を上乗せし、耐震改修にかかる費用について最大150万円程度の補助を受けられます。(補助額は市町村により異なる)
尚、補助金は予算上限に達し次第、交付申請の受付を終了するので、希望される方は早めにお住まいの市町村へ問い合わせてみてください。
(参考:長野県公式HP)住宅の耐震化をお考えの方へ住宅の耐震改修への上乗せ補助のお知らせ

地方自治体による住宅リフォーム助成金の活用法

リフォーム助成金は、住宅の改修費用の一部を自治体が負担する制度です。すべての自治体にある制度ではありませんが、耐震化やバリアフリー化、省エネ改修などが対象です。築年数の要件がない場合も多く、先に紹介した耐震化改修補助金の対象外でも利用できる可能性があります。
例えば長野県飯島町では、リフォームおよび耐震補強対策等の工事に関して、最大200万円の助成金が受けられる制度があります。
助成金を受けるためには、工事内容や年齢制限が条件として設定されることがあります。また、工事業者も自治体が指定する場合が多いため、選定には注意が必要です。

助成金の内容や条件は自治体ごとに異なるため、事前にお住まいの市町村のホームページや窓口で詳細を確認しましょう。

長期優良住宅化補助金の詳細

長期優良住宅化補助金は、既存住宅の耐震化や省エネルギー性能の向上を目指す国の補助金制度です。リフォーム後の住宅性能に応じて補助金の限度額が異なり、劣化対策、耐震性の向上、バリアフリー化などが対象となります。
リフォームをして長期優良住宅として認定されるためには、耐震等級2以上の強度が必要です。補助金申請には、耐震性能の向上や断熱材の使用など一定の基準を満たすことが求められます。また、事前に登録されたリフォーム業者との契約が必要です。
(参考:長期優良住宅化リフォーム推進事業

まとめ

地震が発生した際に最も多くの人命が失われる原因は、建物の倒壊によるものです。特に旧耐震基準で作られた木造住宅は、大規模地震で倒壊する危険性が高いため、すぐにでも耐震診断を受け、専門家とともに補強工事を検討してください。
また新耐震基準で作られている木造住宅においても、経年劣化により耐震性が低下していることが考えられます。

住宅耐震化を考える際には、自治体や民間の業者が提供する耐震診断を利用し、住宅の安全性を確認します。資格などを確認し、信頼できる業者に依頼しましょう。
なお自宅の耐震性を自分で確認したいという方には、誰でも気軽に住まいの耐震性を診断できる、国土交通省住宅局の監修を得た自己診断コンテンツ誰でもできるわが家の耐震診断というサイトがありますので、参考にしてみてください。



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